人を動かす講座(カーネギーの原則を、小さな会社の現場で使う)

はじめに

全体像と学び方

最初に、この講座で目指す所と、やらない事を決めておきます。カーネギーの原則を、介護・スタジオ・コンテンツ事業・家庭の毎日で使う順に20単元へ組み直しました。ここを読むと、後の単元を「なぜ今これを読むのか」が分かる状態で読めます。
目次
  1. 正しいことを言っても、人は動かない
  2. 止まりやすい所
  3. この講座のゴール
  4. 本と順番を変えた理由
  5. やる所とやらない所
  6. 呼び方の約束

正しいことを言っても、人は動かない

スタッフに何かを直してほしい時、多くの人は「正しい理由」をきちんと説明しようとします。 理屈が通っていれば、相手は分かってくれるはずだと考えるからです。

ところが現場では、正しいことを言うほど相手が黙ってしまう場面があります。 言われた側は、内容より先に「責められた」「下に見られた」という気持ちを受け取るからです。 人は理屈より先に、気持ちで動きます。 この講座の原則は、全部この1点から出てきます。

止まりやすい所

これは、あなたの言っている内容が間違っているからではありません。 伝える前の「態度」と、伝える「順番」で損をしていることが多いんです。 順番を変えれば、同じ内容でも相手の受け取り方が変わります。

この講座のゴール

ゴール 必ず覚える

家族スタッフ・お客さん・取引先・家族との毎日のやり取りで、責めずに認め、相手の欲しいものから話し、命令せずに相手が自分から動く頼み方・注意の仕方ができること。

原則の名前を全部言えることは目指しません。 明日の朝の一言が変わることを目指します。

卒業課題 必ず覚える

2週間、職場で1人を選びます(例:家族スタッフのAさん)。 使う原則を3つに絞って、その人とのやり取りで使い続けます。 終わったら振り返りシートで採点し、次の1手を決めます。 用紙は最後の単元(No.20)にあります。

振り返りシートは、卒業した後も1日の終わりに3分で書く、日々の実践ワークです。 人間関係は読むだけでは変わらないので、ここが講座の出口になります。

本と順番を変えた理由

元になっている本は、大きく4つの部に分かれています。 この講座は、その順番どおりには並べていません。

並べた順は、まず自分の態度、次に好かれる、そのあと説得、最後に人を育てる、です。 理由は、毎日すぐ使えるものから積み上げたいからです。 責めない・認めるといった態度は、今日の朝から使えます。 一方で、人を育てる注意の仕方は、態度が整っていないと「ほめてから叱る小手先」に見えてしまいます。 土台から順に重ねると、後の単元が自然に効くようになります。

5つの区分 必ず覚える

○ 区分1 土台:人は理屈より気持ちで動く(No.01〜03)
 責めない、認める、相手の欲しいものから話す。後の全部の根っこです
○ 区分2 好かれる人になる(No.04〜09)
 関心・笑顔・名前・聞く・話題・大切にする。初対面にも身内にも効きます
○ 区分3 相手に納得してもらう(No.10〜14)
 議論で勝たない、間違いの扱い方、「はい」から入る、相手に話させる、気持ちに訴える
○ 区分4 人を育てる・注意する(No.15〜18)
 ほめてから気づかせる、問いかける、進歩をほめる、喜んで引き受けてもらう
○ 区分5 現場で回す(No.19〜20)
 場面別の組み合わせ方と、卒業課題です

区分1は、3単元しかありませんが、いちばん大事です。 ここを飛ばすと、区分2以降が「好かれるための演技」になってしまいます。

区分2は、試しやすい原則がそろっています。 笑顔や名前は、今日会う人にそのまま使えます。

区分3は、正しさを手放す怖さが出る所です。 言い負かさなくても話はまとまる、という経験を1回すると楽になります。

区分4は、経営者のあなたがいちばん使う所かもしれません。 家族スタッフは遠慮がない分、注意の仕方で関係が大きく変わります。

やる所とやらない所

やらない事 さらっと

最後の1つは、はっきり言っておきます。 この講座の原則は、相手を本当に尊重するための習慣です。 口先だけのほめ言葉や、関心がある「ふり」は、すぐに見抜かれて逆効果になります。 使う目的が相手を利用することなら、この講座の原則は使わないでください。

呼び方の約束

学ぶ人を「あなた」と呼びます。 例に出てくる人は、すべて架空です。 「家族スタッフのAさん」「ご利用者さん」「スタジオの利用者さん」「コンテンツの購入者さん」のように、役割名で書いています。

人は理屈より気持ちで動く。だから、まず自分の態度(責めない・認める)を整え、好かれ、納得してもらい、最後に人を育てる。原則は相手を尊重するための習慣で、操る道具ではない。

出典:D・カーネギー『人を動かす』の原則をもとに、独自の言葉と例で再構成した学習用まとめ